わ。なに?すごく甘い匂い…
あれ?メグ?いらっしゃい。
ゴメン。今ちょっと手が離せないんだ。
さくら〜?
苺のヘタ取り終わったよ〜。
サンキュ。
ね?食べてもいい?
ダ〜メ。
出来上がったら薙にもちゃんとあげるから我慢して。
は〜い。
…今度はナニ作ってんの?
ん〜苺大福。
それで小豆を煮てるワケなのね。
それにしても、またレアっぽいの作ってるわね…
リクエストされてね〜。
初めてだから本見て作ってるんだけど…
まぁ、なんとかなりそうだよ。
で、誰のリクエストなのよ?
あたし♪えへへ。
…だと思った。
ホワイトデーのお返しも兼ねてね。
そ、そう。
しっかしアノ人数分作るわけ?
まさか。
名前書いていないのもあったからね。
解る範囲ではお返ししようとは思ってるんだけど…
るんだけど?
いい加減イヤになってくる…
こうまで数が多いと把握しきれなくて。
へぇぇ〜?
モテるオトコは辛いのね。
あのなぁ。
でも、百歩譲って、俺がチョコを渡す事になるのは、まぁ仕方ないとしてもだ。
どうしてお返しなんてしなきゃならないハメになるんだろう?
どして?って。チョコ貰ったからに決まってんじゃん。
面倒なら返さなきゃい〜のに。
でも、そ〜ゆ〜ワケにもいかないしなぁ…
さくらってば、妙なトコロで真面目だからねぇ。
妙なトコロってなんなんだよ…
あはは。
本人は気がつかないもんだからねぇ。
ぶーぶー!
そこ!
ぶーぶー言わない!
第一、貰うあんたも悪いのよ。
う〜〜。
そう言えば、どうしてくれるんだろう?
俺、女なのに。
はぁ〜。
やっぱ気づいてないのよね。
にゃはは。
い〜じゃんい〜じゃん。
さくらのそ〜ゆ〜トコ、あたし好きだよ〜。
せ、説明を要求する。
っていうか教えてくれると助かるかなぁ〜…とか。
簡単な事よ。
あんたってば、基本的に『女に優しい』からよ。
え?そ、そう…カナ?
そうナノ!!
大体基本ベースが相変わらず男のままだからね。
…そう簡単に人格変えられるかよ…
はぁ…だから仕方ないとは思ってるんだけどね。
でもね。
その辺の野郎どもに比べたら…しっかりしてるし気がまわるし〜
女の子扱いしてくれて、背が高くて見ようによっては男っぽく感じるしって…
まぁあれよ。
斉藤さんが下級生に人気があるのと似たようなもんね。
あの人も面倒見がいいから。
呼びました?
わっ!
え?あ、あの…いつから…
う〜ん…なにか呼ばれたような気がして。
あ。ちひろさんちひろさん。
大学合格おめでとうございます。
ふふ、ど〜も。
さくらさん?今度また手合わせしてね。
あ、はい。
いいですよ。私なんかでよければ。 
それじゃ、私はちょっとし〜ちゃんと待ち合わせがありますから。
ご機嫌よう。
はい。それじゃ。また今度。
……。
びっくりしたぁ〜。
だね。
それより何の話だったっけ?
さくらが『女の子受け』する理由〜。
で、でもなぁ。
別に普通にしてるだけなんだけど。
………。
な、なんだよ。
そうよ!
あんた宝塚目指さない?
目指さね〜よっ!!
残念。
意外と天職だと思ったんだけどねぇ。
男装の麗人ってヤツ。
それシャレになってねぇって。
あははは。
今でもそうだからねぇ。
……。
よし!決めた!
な、なによ突然?
あ、出来たの?大福。
え?うん。
餡がもうちょっと冷えてから仕上げに入るよ。
で、ナニ決めたって?
来年はこんな事止める。
こんな事って…ホワイトデーのお返し?
うん。バレンタインもね。
もうあげるのも貰うのもナシ!
ま、決めるのはあんたの勝手だけどね。
無理なんじゃないかな〜。
……。
ま。ご勝手に。
結果は見えてると思うけど。
しくしく。