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Chapter. 1
Encounter Season

出逢いの季節 06





 
   

「……と、言うわけだ」
「へぇぇ。転校の前に病気で入院してたとは聞いていたけどね。まさか女になっちゃってるとは思わなかったな。どうりで顔も見せずに転校したわけかぁ」
説明している間、珍しく黙って聞いていたメグが、ほぅっと息をはきながら言葉を漏らした。



商店街まで出てきてすぐに、メグに引っ張られるようにラミスに連れ込まれた。

ラミスとは、正式にはラミスバーガーと言って、素材にこだわった自然指向を売りにしている店で店内がオシャレなことや、制服が可愛い&学割が利く低価格が評判で中高生の人気が高い。
今も制服姿ではないものの、学生らしきお客で賑わっている。
まぁ雰囲気的にファーストフードと言うよりはファミレスに近いんだけど。

で、結局払いの全部が俺持ちになって、それぞれに注文を済ませて窓際の席を陣取った。
そして、オーダーがくるまでの間にことの経緯を簡単に説明させられていたってわけなんだけど……。



「ま。あんたは昔から女顔だったけど、まさかホンモノの女の子だったってオチがつくとはねぇ」
他人事のように(いや、実際に他人事だろうけど)メグが感想を漏らしながらマジマジと俺の顔を見つめる。

「別にオチがつけたくて、こんなになった訳じゃないぞ!」
「それにしては言葉遣いもしっかり『女の子』してたじゃない。最初は私も危うく騙されるところだったもの」
メグが『やられたわ』って顔で俺を見る。

「でもお姉ちゃん、家では以前のままの言葉遣いだよ」
こら瑞穂。余計なこと言うなってーの。

「そうね。今もそうだし」
瑞穂の言葉に頷くメグ。

「うるさい! 昔からの知り合い相手に女言葉で喋れるか!」
「ほらほら、大きな声出すと周りの注目集めるわよ」
「……」
メグの言葉に、憮然としながらも黙り込んだ。

「そう言えば、あんたってメガネかけてたっけ?」
メグが不思議そうに俺の顔を見ながら尋ねる。

「そう言うメグこそ。メガネどうしたんだ?」
「私はちょっとね。前から悪くなってたんだけど、そうねぇ……一樹が引っ越した冬くらいに作ってもらったのよ」

「視力そんなに悪かったっけ?」
「両眼〇、六かな? なくても生活に支障はないんだけど、やっぱりはっきり見えないってのはなんかね。一樹も視力落ちたの?」
「……さくらって呼べよな。誰が聞いてるかわかんないんだから」
「あ。そっか。ゴメン」
「俺のは伊達だよ。ほら、レンズ薄いし平面だろ?」
メガネをずらしてみせる。

「じゃ、どうしてメガネしてんの?」
「変装用〜。メグをごまかすためだったんだけど、無駄になったな」
メガネをはずして胸のポケットにしまう。
長時間してると頭痛がしてくるんだよな。

「あら? あんたってばメガネしない方が美人よね」
「うんうん。瑞穂もメガネない方が好きだよ」
「う〜うるさい!」
「結構さぁ、男の子が言い寄ってきてたりするんじゃないの〜?」
メグは、にへらっと嫌な笑みを浮かべて俺の顔を覗き込む。

「……」
ある意味“事実”なだけに、コーラを飲むことで返事を誤魔化して黙っていた。

「それで一樹……じゃない、さくらは、今年光陵に進学するんだっけ?」
「ああ」
「じゃ、セーラー着るんだ」
「不本意だけどな」
「私も光陵だよ。明日からよろしくね」
「へ? メグもなのか?」
「そうよ」
なに言ってるの? 当たり前じゃないって顔をしてBLTバーガーにかじりつく。

「メグならもっと上の高校行けたんじゃないか?」
「かもしれなかったけど、通うには光陵が近くていいのよ」
「ふーん」
メグはオレンジジュースを一口飲むと、真面目な表情で口を開いた。

「ねぇ、真ちゃんは、さくらのこと、もう知ってるの?」
「いいや。引っ越してから一度も会ってないからな。知らないと思う」

真ちゃん……『赤坂真吾』は、俺とメグと一緒に小さい頃から遊んでいたもうひとりの幼なじみだ。
小学校の高学年の頃、真吾の両親がマイホームを建てて引っ越しした。
それで校区が変わってしまって、中学は別々になってしまったけど、休日前には泊まりに行ったりして一緒によく遊んでいた。
なんでも器用にこなす方でスポーツも全般得意だった。
ご両親の育ちがいいこともあってか、性格も温厚でよく気がつく子どもだったと思う。
俺やメグのフォロー役でもあり、互いに掛け値なしで信頼していた親友と呼べる間柄だった。

……俺が引っ越すまでは。

「真ちゃんも光陵なのよ」
「え!? そうなのか?」
「ふふん。真ちゃん今では格好良くなっちゃってモテモテなんだぞぉ」
「真吾は前から女の子に人気があったじゃないか」
「ちっちっちっ。それに輪をかけて人気あるのよ。ファンクラブまであるんだから」
「そうだよお姉ちゃん。真吾お兄ちゃんホントに格好良いんだから」
瑞穂がまるで自分のことのように自慢する。

「へぇ。今度会うのが楽しみだな」
「で。どうする? なんなら私から真ちゃんに言おうか。一樹のこと」
「いや……そうだな。真吾にもちゃんと話しておかないとな。俺から直接言うことにするよ」
「そう。それが良いかもね〜って、ちょっと待って。直接会いに行くつもり?」
「そうだなぁ。どうせ明日から学校だし、学校で話そうかな」
「それなら、私が真ちゃん呼び出してあげるよ。教室とかで驚かれるとなにかと不味いでしょ」
「あ。そうか。サンキュ。そうしてもらうと助かる」
「まね。色々大変だろうから出来るだけ協力してあげるわよ」
「ああ。それでこそ今日奢りにした甲斐があったってもんだ」



「瑞穂もねぇ、光陵を受けようかと思ってるんだよ」
話が落ちついたところで、内緒話を打ち明けるように瑞穂が話す。

「あー? おまえ成績大丈夫なのか?」
「大丈夫大丈夫。だってお姉ちゃんが入れるんだもん。楽勝だよ」
「あはは。それは言えるわねぇ」
ふたりはクスクスと笑いあう。

「おまえらなぁ。俺の今の成績知らないからそんなこと言ってられるんだぞ」
「えぇ〜。中学の時って成績イマイチだったじゃない?」
「ふふふ。真の実力を隠していたのだよ」
「はいはい。それじゃ瑞穂ちゃん、次行こっか」
メグが話を聞き流して席を立つ。

「あ。恵ちゃん、トレーは瑞穂が片すよ」
「……おまえら俺の話聞けよ」
そんな馬鹿げた、しかし、昔と変わらない会話に心が休まるのを感じた。
なんか昔に戻ったみたいだな。

 
   






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