「それでは、第三十九回、生徒会選挙立会演説会を執り行います」
ざわざわとさざめく体育館にマイクの声が響く。
一堂に集まった生徒たちの声が小さくなると、司会を務める生徒会メンバーが案内を続ける。
「立候補者は壇上向かって右側、推薦者は向かって左側にご着席ください」
ステージ脇に控えてた俺たちは、その声に従ってステージ上にあてがわれたパイプ椅子に着席していく。
副会長候補から発表順に、一年D組有家雄高、一年E組九重櫻子、二年B組牧島太輔、二年D組国見雪枝と並び、続いて会長候補の俺、そして、二年E組野村勝の計六名。
演壇を挟んで反対側では、それぞれの推薦者も同じ順番で並んでいた。
緊張感に心臓を鷲掴みにされながら様子を窺うと、応援演説役を買って出てくれたちひろさんと視線が合った。
ちひろさんはいつもの雰囲気で楽しそうに手を振って微笑み返してくれる。
(よ、余裕あるなぁ……)
さすがは合気柔術部副部長。踏んできた場数が違いすぎる。
「では、副会長候補、一年D組、有家雄高くんの応援演説から始めます。推薦者は舞台中央までお願いします」
いよいよ始まった。始まってしまった。
バクバクと高鳴る鼓動に息苦しさを覚える。
それは緊張からなのか高揚してるからなのかすら判断できなかった。
でも、ここまで来たらなるようになる。とゆ〜か、なるようにしかならないだろう。
今更ここで俺の立場が変わるわけじゃない。
好奇の視線は仕方のないこと。
噂を認めるような……噂に揺らぐような、そんな気弱な態度だけは見せられない。
毅然として、自信を持って……そう、この場は響みたいに堂々と振る舞わなくては。
で、でも、そんなことできるんだろうか?
なけなしの自信があっけなく揺らぐ中、他の立候補者の演説は右から左へ抜けていくのみ。
混乱と緊張が綯い交ぜになった状態であれこれ考えても、結論までの過程は浮かんでは消えを繰り返すばかりで頭の中に残らない。
そんな感じでパニクってると、隣に座っている会長候補の二年生、野村先輩が小さな声で話しかけてきた。
「ね、君さ、波綺さんだっけ? もしかして緊張してるの?」
……おまえなぁ。もしかしなくても、してるっつーの。
と、思いはしたものの何も言い返さずに視線だけ隣へ向ける。
一見、人の良さそうな笑みを浮かべているが、目が……視線が蔑みの色を浮かべていた。
気味の悪いアンバランスな笑顔を一瞥して前に向き直る。
こいつは……関わり合いになりたくないタイプだ。
直感だけを理由として確信する。
それは、この先の会話で正しい判断だと実感できるだろう。
「いやね、あんまりにもギュッと手を握ってるからさ。それにしても、よく本番まで辞退しなかったね。話に聞いただけだけど、まともに選挙活動できなかったんでしょ? やるだけ無駄だとか思わなかったわけ?」
「…………」
そりゃぁ思わなくもないけどさ。辞退とかおまえに関係ないだろ!
と心の中で毒づいてから思い直す。あぁ、こいつも候補者だったか。
自分のことで精いっぱいで意識すらしていなかった。
関係なくもないというか、あるのか。こいつには。
「ひとつ聞きたいんだけどさ。あんな噂とか流れてて平気なの? あ、生徒会長に立候補するくらいだから平気なのか。でもさ、恥ずかしくないの? 君ってさ、はっきり言って場違いだと思うんだよね。僕が君の立場だったら、とてもじゃないけど学校にすら来る勇気もないよ。その意味では尊敬するね。すごい勇気あるよ、君って。そういうのって厚顔無恥とも言いそうだけどね」
「あの、野村……先輩」
内心の怒りと呆れを飲み込んで、正面を向いたまま話しかける。
いや、いい加減、下らない話に付き合うための少ない忍耐力が無くなったからだけど。
「なに? 今からでも遅くないから立候補取り消すかい? なんなら僕から執行部に話をしてあげてもいいけど」
「いえ。その心配には及びません。お心遣いありがとうございます」
「そう? 無理しなくてもいいんじゃない?」
「………………」
確かに、こいつの話にこれ以上付き合うのは無理だ。
こっちとしても無理はしたくないから黙ってくれないだろうか。
「そうか、君は勇気だけはあるんだったね。すごいや、君こそは例えるならば現代のドンキホーテだね」
「よく意味がわかりません」
「そうかい? 君にはちょっと難しい例えだったかな。あ、ほら、君のお友だちの番みたいだよ?」
野村の言うとおりコノエの番になっていた。
隣のウザイ男のおかげで沈みきっていた思考を持ち上げて、コノエの姿を斜め後ろから見つめる。
コノエは堂々とした様子で深く一礼するとマイクを手に取った。
……やはり、カンペとかは使わないみたいだ。
「みなさん、こんにちは。副会長に立候補しました、1年E組九重櫻子です」
よく通るコノエの声が、スピーカー越しに体育館を満たしていく。
つい先日、学年首位の成績で知名度をあげたコノエに対する関心は高いらしく、小さくではあったがどよめきが起こった。
コノエは全校生徒の視線が集中するのをしばらく待ってから、ゆっくりとしたテンポで話を続ける。
「今回、私が立候補した理由は、大きく分けてふたつあります」
ゆっくりと。はっきりと。
聴き取りやすさを意識した口調。
心臓バクバクの俺とは対照的に、こういう場に慣れてる余裕というものが窺える。
やっぱりコノエが会長でいいんじゃないのか、と思うものの、すでにまな板の上の鯉。
今からではどうしようもない。
「……理由のひとつめは、ここ光陵での、みなさんとの高校生活を、より楽しいものにしたいと考えたからです。学業、部活動はもちろん、特にイベント……学校行事を、みなさんとともに盛り上げていきたいと思っています」
コノエは、合間合間に間を取りつつ、聞き取りやすいテンポで言葉を紡いでいく。
「以前、私は斎凰院中等部で書記、副会長と二年間、生徒会役員として悔いが残らないよう精一杯活動してきました」
斎凰院の名前にざわめきが起こる。
小中高一貫教育の私立校で、お嬢様学校として有名なだけに、その生徒会に所属していたという実績は十分なネームバリューがあるのだろう。
「しかし、その時はベストだと思えたことも、今考えると、もっと良いアイデアが浮かんできます。当時の自分なりに精一杯の努力を尽くしてはきましたが、やはり、うまくできなかったこと、やり残したことも多々あります。その経験を活かして、皆さんが、もっと楽しい高校生活を過ごすために活動できる生徒会を、私は作りたいと考えています」
こっちは立候補関連で手一杯すぎて、当選後のことはほとんど考えてない。
いや、コノエに任せっきりで、正直に言えば全然考えていない。と言うか、なにをすればいいのかから理解できていない。
この場に来て今更だが、俺が立候補したのは間違いだったのでは……と弱気になってくる。
「これまで、みなさんにとっての生徒会とはどのようなものだったでしょうか。中学のころをあわせて少し思い出してみてください。……どのような活動をしていたとか、会長、副会長を始めとした役員の顔、そして名前などが、今、みなさんの脳裏に、それぞれ浮かんでいるかと思います」
(……やば。ま、まったく浮かばない……)
もちろん響が会長やってた去年の生徒会は大体知ってるけど、その前の生徒会は副会長だった響以外はさっぱりだし、転校前に至っては記憶に残ってもいない。
過去の生徒会のメンバーなんて、みんな覚えてるものなのか?
「私は、みなさんの家族や友達の間で話題にのぼるような……、欲を言えば、自慢してもらえるような生徒会を目指したいと思っています。……そんな生徒会が、本当に実現できるのかどうか、少し興味を抱いていただけたのなら、どうか私に投票してみてください。そして、どんな生徒会を作っていくのか実際に見て欲しいと思います」
胸を張り、自信を持って宣言するコノエに、全校生徒が……いや、教職員を含めた全員が固唾を飲んで注目していた。
その言葉は、普通ならば信用してもらえなかったかもしれない。
ただ、今のコノエには、学年主位という実績と、斎凰院卒という肩書きがある。
その上で、そこまで自信たっぷりに話す『コノエが作る生徒会』は、確かに俺自身も実際に見てみたいと思う。
……自分が、その類い稀になるであろう生徒会の、しかも会長になろうとさえしていなければ。
「ふたつめの理由は、わたくしごとになるのですが、友だちのため、です。その人は同じ中学の出身で、そして、私が尊敬し敬愛している人でもあります」
へぇ。コノエが尊敬と敬愛するとまで言う人物と言えば、間違いなく響……九條響のことだろう。
確かに、響の明晰さや行動力は尊敬に値すると思う。
「彼女は自分の信念をしっかりと持っています。そして、ただそこに居るだけで、とても惹かれてしまいます。正義感が強く、困っている人を見過ごせない優しい心の持ち主でもあります」
うんうん。俺も響に助けられた口だから、コノエの言葉に素直に頷ける。
「背が高くて、美人で、運動神経がよく、勉強もできます。料理も得意で、面倒見も良く、こうして彼女の良い点を挙げていけば、皆さんは、非の打ち所がない完璧な人だと想像してしまうかもしれません」
(……料理?)
今まで共有できていると感じていたイメージにそぐわないキーワードが引っかかった。
かなり万能な響だけど、料理はまったくできないと聞いた覚えがある。
お抱えの料理人がいるので自分で作る必要がないし、その分、ほかに学ぶべきことがたくさんあったから……と以前言ってた。
そのことを親戚であるコノエが知らないはずはないんだけど。
「しかし、私が尊敬しているのは、一見して完璧にも見える彼女の“見えない”部分なんです。……努力家で、勤勉で。でも、それを鼻にかけようともしない謙虚さや、他人の痛みを理解して包みこんでくれる懐の深さ、そして、自分の痛みは隠して見せようとしない強がりなところも、すごく愛しく思っています」
言葉だけ聞いてると、告白してるみたいにも思えるな。
と言うか、微妙に俺が抱いてる響像とコノエが話す内容に違和感が広がっていく。
完全に違うとまで言い切れるほど明確な違いではないけれど、確かに、なにかが、どこかが、コノエと俺が思い描くイメージにズレを生じさせている。
「でも彼女は、それゆえに誤解されやすい人です。弱みを見せない。努力を見せない。だから、彼女をよく知らない人の目には、単に才能に恵まれただけと映ってしまうことも度々ありました。……中学の時もそうでしたし、高校に進学した今も、やはり同じように誤解されてしまっています」
九割方、響のことを言ってるように思うけど、なにか決定的な勘違いをしているような不安が募る。
そうだ……。
今、この場で、響を引き合いに出す『意味』が見えてこない。
響を知らない人たちに、響を紹介する意味も理由もないはずだ……。
「そこで、私は決意しました。私の敬愛する彼女の誤解を解きたいと。本当の彼女を、みなさんに見て欲しいと思いました」
……疑念が確信に変わる。コノエが言ってる人物は……。
「彼女のことを皆さんにもっと知って欲しい。本当に『噂』で言われているような人なのかどうかを、皆さん自身で直接判断して欲しいと思います。生徒会活動を通して、その立ち居振る舞いを。一挙手一投足さえも」
なにを言っているのか理解した瞬間、思考が停止した。
そんな、まさか。
有り得る他の可能性を探しながら、視線はコノエの背中に釘付けだった。
「……どうか、私と彼女が創る生徒会を一年間見ていてください。そして、皆さん一人ひとりが答えを出してみてください。私たちは、皆さんに期待はずれだと思われないよう、見直していただけるように精一杯頑張りたいと思います! どうぞ、よろしくお願いします!」
最後に声のトーンを上げて締め括ったコノエが深々と頭を下げた。
コノエの演説が終わると体育館が沈黙に満たされる。
一秒、二秒…………五秒。
頭を下げ続けるコノエに対し、まばらではあったが拍手が起こった。
さきがけは先生のものか、生徒の誰かなのか。
それは伝染するように広がっていき、体育館全体を包み込むまでに大きくなっていく。
顔を上げたコノエは、はにかむような笑顔を浮かべて、再度大きく頭を下げた。
頭では感動的なシーンだと理解できていた。
が、それよりもなによりも、気になっていたのはコノエの後半の演説内容だ。
名前こそ出さなかったが、状況証拠と事前に聞いていた内容を照らし合わせると、コノエが先程褒めちぎっていたのは響ではなくて俺だということになる。
(……マジか?)
割れんばかりの拍手の中、コノエの後ろ姿を見つめながら頭の中が真っ白になっていく。
この中で、一体どれだけの人がコノエが言っていた人物が『俺』だと気がついただろうか。
心なしか、生徒の視線がコノエではなく俺に集まっているようにも思えてくる。
もし、ほとんどの生徒が気付いていたとしたら…………。
(そ、そんなわけないだろっ。自意識過剰だ)
高鳴る鼓動を気合いで押しとどめて、無理難題とは分かっていても自分にそう言い聞かせる。
こんな状況で演説しなきゃなんないのか……。
そもそも人前で話すことも気が進まないのに、意味ありげな演説で興味をかき立てられた聴衆の中で、どうやって話せばいいんだ……。
満場の拍手に送られて、コノエが自分の席に戻っていく……かと思いきや、俺の前に来て手を差し出した。
「はい。ミキちゃん握手〜」
「……やりすぎだ」
反論しながら握手を交わす。
コノエは何も言わず、俺にだけ見える角度でウインクして空いた左手で肩をポンポンと叩いた。
よほど変な顔をしてたのか、コノエはこちらの反応を見てクスクスと笑いながら席に戻っていった。
なんて演説してくれるんだか。
……これが、先日言ってたコノエの『援護射撃』なんだろう。
なるほど『一番効果的なタイミング』には違いない。
全校生徒のほぼ全てが聴いている状況は、この場しかないだろうから。
ふと隣の様子を見てみると、野村はなんともいえない難しい顔をしていた。
見られていることに気づいたのか、野村は視線が交わると忌々しそうに顔をそらした。
「では、続きまして会長候補、一年A組、波綺さくらさんの応援演説を行います。推薦者は舞台中央までお願いします」
ほかの立候補者による演説も耳に入らないような状況の中、ついに俺の番がやってきた。
まずは応援演説。ちひろさんの番からだ。
名前に反応してざわつく中、ちひろさんは静かに立ち上がると俺に頷いてからマイクの前に立った。
彼女の持つ凛とした空気が体育館に満ちていくような錯覚を覚える。
まばらに聞こえていた私語が消え、沈黙に包まれた中でちひろさんは穏やかに話し始めた。
「皆さん、こんにちは。私は三年B組、斎藤ちひろです。今日は、大切な友人でもある波綺さくらさんの応援演説を私が代表して、お話しさせていただきます」
「……代表?」
隣の野村が呟く。
まぁその疑問はもっともかな。
実は今朝まで、ちひろさん、真吾、透子先輩、香澄会長の誰がやるかで揉めてたくらいだし。
結局、最初に申請してた人以外は不許可だということでちひろさんに落ち着いた。
まぁ、他のメンバーに志保ちゃんを加えた四人は、今も舞台袖に控えているんだけど。
「……実は、こうして壇上に立って話すのは苦手で、先月の入学式が最初で最後と思ってたんですが、どうしても言いたいことがあって他の人たちを押しのける形で、お時間をいただいています」
落ち着いた声。堂々とした態度。
最上級生としての威厳を持ちながらも柔らかな物腰も同時に感じさせる。
改めてちひろさんは凄いと感じた瞬間だった。
俺も、あと一年でこんな風になれるんだろうか。
「では、早速ですが、なぜ、私が彼女の応援演説をしようと思ったのか、どうして彼女が生徒会長に相応しいと思っているのかについてお話しします。私がさくらさんと初めて出会ったのは先月の入学式前日のことでした。正確には会ったというべきではないかもしれません。それは、その時のさくらさんは、怪我をしてアスファルトの歩道に倒れ、気絶していたからです」
おそらく予想外であろう話の流れに体育館がざわざわとどよめく。
しかし……そこから話すのか……。
「そこには私の親友が居合わせていて、話を聞くと、その親友が通り魔に襲われそうになったところを身を挺して庇ってくれた、ということでした。……すぐに救急車を呼んで病院まで付き添いました。幸い怪我は大事には至らず、今こうして元気に学校に通ってくれていることを私は心から喜んでいます」
振り向いたちひろさんが深々と頭を下げる。
な、なにも今更こんなところで言わなくてもいいのに。
慌てて手を振って『気にしないでください』とジェスチャーで伝える。
それを見たちひろさんは可笑しそうに微笑んだ。
「その時、私は自分に置き換えて考えてみました。今日初めて会った人を、身を挺して庇うことが果たして出来たのかどうか。見ず知らずの他人を咄嗟の判断で助けようと行動できるのか。……それは、実際その時になってみないと分からないと結論づけましたが、出来るという自信は私にはありません。それが友人なら、大切な人なら、私も同じように庇えるでしょう。でも、彼女は初対面だった私の親友を守ってくれました。その行動を私は心から尊敬しています」
言葉を切ると体育館が沈黙に満たされた。
ちひろさんは一呼吸間を置いて話を続ける。
「他人のために行動できる彼女ならばこそ、生徒会長に相応しく、きっと期待に応えてくれると信じています。そして、私も出来うる限り協力したいと思います。今度は私が……」
ちひろさんはチラリと舞台袖に控えている志保ちゃんを見て、そしてお互いに頷く。
「私たちが、彼女の力になりたいからです。皆さん、どうか波綺さくらさんをよろしくお願いします」
最低限の時間で必要十分な内容の演説を終えたちひろさんが静かに頭を下げた。
舞台袖の志保ちゃんが先導するかたちになった拍手は、戸惑いが感じられるまばらなものだった。
まばらながらも、一年A組やちひろさんのクラス、メグの二年B組などの特定の場所からは大きな拍手が寄せられている。
今の、この拍手の状態が俺の立場を正確に表していると思う。
ほぼ満場の拍手をもらったコノエとの差は、そのまま当選の可能性の差につながる。
ここで、決め手を打つことができなければ、せっかくのコノエの援護やちひろさんの好意を無駄にしてしまう。
舞台袖の志保ちゃんと眼があった。
その隣には真吾、透子先輩に香澄会長の姿。
みんな、声には出さなかったけどエールを送ってくれていた。
「続いて、会長候補、一年A組、波綺さくらさんの演説です」
呼び出しを受けて立ち上がる。
不思議と心の中は穏やかだった。
さっきまでのパニックが嘘みたいに落ち着いていた。
開き直ったのか、それともまた無気力状態になったのか。
まぁ、それも今はどうでもいい。
あとはやるしかないんだから。
せめて、響のように上手く話すことが出来れば。
落ち着いて、堂々と胸を張って。
マイクの前に立つと、心が限りなく真っ白になった。
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